安河内哲也さんの『英語教育2.0 日本の教育をこう変えよ!』東洋経済オンライン連載が完結!


東洋経済オンラインで、2012年11月から無料連載されていた『英語教育2.0 日本の教育をこう変えよ!』が2014年12月に連載終了しました。英語学習者や、英語指導者に参考になる素晴らしい内容だったと思います。

安河内哲也『英語教育2.0 日本の教育をこう変えよ!』東洋経済オンライン

今回は、全52記事に目を通した僕が、本連載のオススメ箇所をピックアップしたいと思います。↓ 安河内さんの動画チャンネルはこちら。

なお、安河内さんは文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」の委員も担当されてました。

韓国の躍進と、スピーキングテスト

以下、 【XX】の数字は掲載順番(01~52)。特にオススメ記事にはリンクを貼ってあります。

まっさきに読んでおきたいのが、初回記事。アジア30カ国のTOEFLスコアの平均点ランキングを元に、韓国の英語力の躍進を伝えています。

【01】TOEICの満点は、990点でなく1390点 – 韓国の英語力が日本を突き放した理由(上) [12/11/15]
【02】大学入試を変えれば、すべてが変わる – 韓国の英語力が日本を突き放した理由(下) [12/11/29]

なぜ、韓国は躍進できたのか? 注目したいのが、

900点を採用基準としてきたサムスンですが、LRでは世界で活躍できる優秀な社員を採れないということに気付き、採用条件からはずしました。現在、サムスンはSテストの点数で採用するようになり、多くの企業が後に続いています。

という記述。サムスンの新卒採用基準がTOEIC900というのを聞いたことがある人は多いと思いますが、2012年11月時点で既に、Sテスト(スピーキングテスト)の点数での採用に切り替わっていたんですねぇ。安河内さんは

私は、これからは日本もSテストを重点的にやっていくべきだと思います。TOEICのLRSWテストの中で最も実用性が高いのは間違いなくSです。LRはまったく話せなくても満点が取れますが、Sは4技能全部ができていないと駄目。しかも、勉強をしていく中で国際ビジネスですぐに使える技能が備わっていきます。

このように仰り、(著作などでもそうですが)この連載では一貫して

スピーキングの重要性を訴える

内容となってます。連載では、現在ビジネスパーソンを中心に人気のTOEICについても言及。(自分も昨年10月から受け始めてます)

【49】英語は「覚えるまで音読する」- 千田潤一(1) [14/12/10]
【50】TOEIC満点を目指すだけの人はダメ – 千田潤一(2) [14/12/17]
【51】TOEICだけでは英語は話せない!? – 千田潤一(3) [14/12/24]
【52】TOEICで終わっちゃダメよ~ダメダメ – 千田潤一(4) [14/12/29] (連載最終回)

連載終盤の51回目では

TOEIC は730か800点を超えたらTOEIC SWを受けよう

と主張されてます。TOEIC SWは、「値段が10,260円と高め」「満点が495点ではなく200点」など、いろいろ不人気のようですが、自分はSWも大いに興味がありますし、やはり「読む・書く・聞く・話す」の4技能をバランス良く鍛えるのが、英語力を高めるのに良いのではないでしょうか。

ただ、スピーキングテストは、連載に登場するスティーブ・ソレイシィさんが開発されていたり、レアジョブ英会話でもスピーキングテストがあるそう。安河内さんもスピーキングテストを作成予定との事で、まだまだ未成熟で課題も多い状況のようですね。

【26】「日本語に合った英語」に転換しよう – ソレイシィ(1) [14/05/14]
【27】TOEICにスピーキングテストを導入せよ – ソレイシィ(2) [14/05/21]
【28】TOEIC満点でもスピーキングを怖がるワケ – ソレイシィ(3) [14/05/28]
【29】入社試験にビジネス英会話を導入せよ – ソレイシィ(4) [14/06/04]

【34】スカイプ英会話「レアジョブ」誕生の秘密 – 加藤智久(1) [14/07/23]
【35】英会話は「習う」と「慣れ」の両方必要 – 加藤智久(2) [14/07/30]
【36】グローバル人材に求められる3つの素養とは? – 加藤智久(3) [14/08/06]
【37】デタラメでもいい! 英会話は「楽しい」が大事 – 英語教育を変えるキーパーソン 加藤智久(4) [14/08/13]

なお、この連載では出てこなかったと思いますが、個人的には、楽天が採用して話題になったVersant「ヴァーサント」というスピーキングテストにも注目しています。(Versantは、最近読んで実践的な本だと思った『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』でも、絶賛されてました。)

大学入試の4技能化

英語教育2.0というタイトルの、この連載で注目なのが、「大学入試改革」について。

【03】大学入試の英語が変わる! – 英語教育改革の切り札「TEAP」がついに登場 [12/12/13]
【24】英語の「外部試験導入」は、改善か?改悪か? – 大学入試英語は本当に変わるのか? [14/03/06]
【25】英語入試問題であなたも知の冒険に -入試問題、あなたはどれだけ解けますか? [14/04/03]

注目したいフレーズとしては「ウォッシュバック効果」が挙げられます。

建前を抜きにして言うならば、日本では18歳までの教育の主目的は、子供をいい大学に入れることです。そして、それまでの学校・塾・予備校の英語教育は、 大学入試の内容から逆算して作られています。これをテストのウォッシュバック効果と言います。ウォッシュバック効果とは、簡単に言うと「目標となるテスト がそれまでの教育手法に与える影響」のことです。

大学入試が、現在の「和訳・翻訳」中心から、4技能試験に変わることで、英語教育が大きく変わるという主張は、自分も納得できることが多かったです。韓国では、改革にいろいろと問題が起きたようですが・・・。

【23】韓国の「英語教育大改革」、失敗か? – 英語をめぐる韓国のドタバタ劇 [14/01/23]

東京オリンピックに向けて、英語の関心もさらに高まりそうですね。2020年には、センター試験も廃止される予定のようですし、本当に「英語力の高まる」実践的な英語教育へ、よい方向に進むと良いなと思います。

【42】政治家と「英語教育の未来」を語り合った! – 遠藤利明(1) [14/10/08]
【43】安倍総理も応援! 英語教育の改革が加速 – 遠藤利明(2) [14/10/15]
【44】東京五輪、全国100万人が外国人をガイド!? – 遠藤利明(3) [14/10/22]

子供の英語教育について

子供がいらっしゃる方は、下記の回に目を通しておくと良いと思います。

【04】わが子を英語ができるように育てるには(上) – 日本で学んで達人になる少数派の秘密 [12/12/27]
【05】わが子を英語ができるように育てるには(中) – 家庭で実践する英語教育ヒント集 [13/01/10]
【06】わが子を英語ができるように育てるには(下) – 大学入試と英語習得を両立させる方法 [13/01/24]

【30】論争勃発! 小学校の英語教育は意味がない!? – 水野 稚(1) [14/06/18]
【31】小学校で勉強しても話せるようになりません – 水野 稚(2) [14/06/25]
【32】英語はいつから始めるのがベスト? – 水野 稚(3) [14/07/02]
【33】オックスフォード卒の私は小学校英語に反対 – 水野 稚(4) [14/07/09]

水野稚さんとの対談の回は、「それは違うと思います」のような白熱した議論の雰囲気が漂っていて、なかなか面白い回でした。

音読学習のススメ

安河内さんが著書でもよく主張されている、音読学習。この連載でも、下記の回にまとまっており、特に「必ず英語力が付く、正しい音読10の方法」は役立つと思います。

【20】英語は机で勉強するな!音読はこうやるべし – 音声学習のススメ(上) [13/08/22]
【21】英語は机で勉強するな!音読はこうやるべし – 音声学習のススメ(下) [13/08/29]
【22】必ず英語力が付く、正しい音読10の方法 – 棒読みデタラメ音読に陥るな! [14/01/16]

〜 棒読みデタラメ音読を廃し、必ず英語力が身に付く10の方法 〜
1.構造の理解と単語・フレーズの暗記を先行
2.リピーティング
3.サイト・トランスレーション(※ 10まで続く)

【38】orange→オランゲ…スペルは気にするな! – 斉藤淳(1) [14/08/27]
【39】レット・イット・ゴーじゃない、レリゴウ♪だ – 斉藤淳(2) [14/09/03]
【40】音のない英語教科書!? CDぐらいつけろ! – 斉藤淳(3) [14/09/10]
【41】東大留学生は英語ができない…試験を変えろ! – 斉藤淳(4) [14/09/17]

※ なお、安河内さんの著作だと、こちらの3冊『完全保存版 できる人の勉強法』 ・ 『CD付 350万人が学んだ人気講師の勉強の手帳 英語編』 ・ 『完全保存版 できる人の英語勉強法』がオススメです。

 安河内 哲也 (著)『完全保存版 できる人の勉強法』 ・ 『CD付 350万人が学んだ人気講師の勉強の手帳 英語編』 ・ 『完全保存版 できる人の英語勉強法』

連載が気に入った方は、著作もチェックされると良いと思います!

【07】TOEICだけでは話せるようにはならない – ビジネスパーソンの英語学習法(その1) [13/02/07]
【08】英語に100万円かけるなら、スピーキングだ – ビジネスパーソンの英語学習法(その2) [13/02/21]
【09】教師は英語を教えるな! – ビジネスパーソンの英語学習法(その3) [13/03/07]
【10】パーティーで英語を話せるようになるには? – ビジネスパーソンの英語学習法(その4) [13/03/21]
【11】「TOEFL義務化」は再生か?破壊か? – TOEFLパニックが始まった [13/03/28]
【12】英語を読めるだけでは仕事にならない – ビジネスパーソンの英語学習法(その5) [13/04/11]
【13】英語でプレゼンするには? – ビジネスパーソンの英語学習法(その6) [13/04/25]

【14】受験で全敗した私が、英語の達人になるまで – 石渡誠(上) [13/05/16]
【15】「伝説の教師」から学んだ、最強の英語勉強法 – 石渡誠(中) [13/05/23]
【16】英語の達人が説く極上のスピーキングとは? – 石渡誠(下) [13/05/30]

【17】白熱教室:灘高の英語授業はこうなっている – 木村達哉(上) [13/06/20]
【18】白熱教室:灘高は英単語をこう教えている – 木村達哉(中) [13/06/27]
【19】白熱教室:灘高はリスニングをこう教えている – 木村達哉(下) [13/07/04]

【45】「おとなの基礎英語」松本先生は英語が苦手? – 松本 茂(1) [14/11/05]
【46】宮沢賢治もディベートをしていた!? – 松本 茂(2) [14/11/12]
【47】英語ディベートは、英会話よりも簡単!? – 松本 茂(3) [14/11/19]
【48】英語ディベートは大学入試の準備にもなる! – 松本 茂(4) [14/11/26]

安河内哲也『英語教育2.0 日本の教育をこう変えよ!』東洋経済オンライン

・・・英語業界のキーパーソンとの対談など他にもいろいろ濃い記事があるので、『英語教育2.0 日本の教育をこう変えよ!』ぜひチェックしてみて下さい。

それではまた。[更新No.009] 2015/01/15