NHK『新感覚☆キーワードで英会話』DVDが秀逸！（出演：安良城紅[BENI]さん、藤岡正明さん、田中茂範さんなど）
「新しい感覚で基本単語を身につけよう！」というコンセプトで、2006年4月～2007年3月にNHKで放送された『新感覚☆キーワードで英会話』。だいぶ前に放送された番組ですが、ご覧になった事はあるでしょうか？
DVD全６巻（放送100回）と、番組のエッセンスを凝縮した本『イメージでわかる単語帳』を、全部チェックしましたが、非常に分かりやすい素晴らしい内容でした！ 以下、詳しくご紹介したいと思います。
“新感覚” キーワードで英会話
どの辺りが「新感覚」かは、初回放送の冒頭で、マスコットキャラの辞書猫・TANGO（タンゴ）[声 ダリオ戸田さん] から、次のように説明がありました。（TANGOは、ユーモアたっぷりで面白く、魅力的なキャラクター！）
新感覚とは、ズバリ
基本単語をイメージで身につける
という点。”イメージで身につける” とはどういう事か？ 具体的に見ていくと、例えば、日本語訳だと「取る」「撮る」「捕らえる」「獲得する」「用いる」などいろいろな意味がある、項目１．「take」だったら・・・
基本(コア)イメージは、「何かを自分のところに取り込む」と言うシンプルなもの。「外から内への移動」をイメージで考える事で、takeの多様な使い方を、感覚的に理解して、使いこなし易くなります。
項目２．「give」だったら下記のように「自分のところから何かを出す」というコアイメージですが、「take」との対比することで、理解が深まります。
番組は「１項目１０分」で、毎回取り上げる単語のコアイメージが必ず紹介される構成となっています。
基本語を「使い分けつつ使い切る力」を身につける
この番組は、
小さな英語で大きく羽ばたく
というコンセプトで制作され、その為に、
基本語を「使い分けつつ使い切る力」を身につける
ことが提唱されています。番組で取り上げられている単語は、基本的なものばかりですが、「使い分け」や「使いきる」のは奥が深く、なかなか難しいです。例えば、あなたは「look」と「see」を使い分けられますか？
本番組のポイントが、最終回で分かりやすくまとめられていたので、見てみましょう。
１．形が違えば意味も違う。形が同じなら共通の意味（コア）がある。
２．コアをイメージでとらえ色々な文脈にあてはめる
３．似た意味の言葉を比較しながら学習する
４．日本語訳に頼らないでイメージでとらえる
「make」「have」と言った基本動詞や、「on」「in」などの前置詞など、基本単語ごとにコアイメージが紹介されていて、本当に分かりやすいです。基本となるイメージは「単純であいまいだからこそ、たくさんの用法で使える」という事。
この考え方は、以前このブログでご紹介した、大西泰斗さんの『ハートで感じる英文法』に近いものがあります。
>>『ハートで感じる英文法』紹介記事『ハートで感じる英文法』は、文法中心。今回取り上げている『新感覚☆キーワードで英会話』は、単語中心の内容。両方学ぶことで、英語力が大幅アップすると思います。
両方とも面白い番組なので、「楽しんで学べる」点も良いですね。
魅力的な出演者の方々
生徒役で登場するのが、当時20歳ぐらいの安良城紅ちゃんと、当時24歳ぐらいの藤岡正明くんです。日本語より英語が得意という安良城紅ちゃんの英語は、本当に上手です。
講師の方は、メインで登場するのが、田中茂範さん。部分的に、河原清志さん（形容詞編を担当）と、佐藤芳明さん（名詞・文法項目編を担当）も登場します。
『イメージでわかる単語帳』とＤＶＤを活用！
この『新感覚☆キーワードで英会話』のエッセンスを１冊に凝縮した『イメージでわかる単語帳』も2007年に発売されています。放送されたコアイメージも全部掲載されていて、ＤＶＤも持っている方にも非常にお勧めです。
ＤＶＤの購入を迷っている方は、まずはリーズナブルな書籍版を購入されると良いでしょう。
ただ、やはりコアイメージは映像で見た方が３倍ぐらい分かりやすく、記憶にも残りやすいのでＤＶＤも購入されることをお勧めします。１巻あたり約2,500円。６巻揃えると安くはないですが、まずは１巻目を購入されるとよいでしょう。（６巻セット割などは無いようです）
ＤＶＤは、項目毎にチャプターが分かれていて、コアイメージだけを観る事も可能という、親切設計です。
あ、もしかするとこのブログをご覧の方で、2007年頃の発売と「やや古くなっているけど大丈夫かな？」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが
英語教材は新しければ良いというものではない！
と、僕は思います。英語教材に限りませんが、「古いか、新しいか？」ではなく「質が高いか、低いか？」が大事ですよね。
僕はこの教材の「質の高さ」は間違いないと思ってブログでご紹介してますが、本当に役立つ「アタリの英語教材」だと思います。（Amazonのレビューなどもある程度は参考になると思います）
１００項目＆ＤＶＤ収録内容紹介
続いて、取り扱っている単語など、ＤＶＤの収録内容を６巻順番にご紹介します。
１巻【基本動詞編】 153分（2時間33分）講師：田中茂範さん
１. take
２. give
３. get
４. have
５. hold
６. keep
７. make
８. break
９. cut
10. be
11. put
12. set
13. catch
14. come
15. go
16. run
特に「have」「be」は、現在完了形や、進行形にも関わる重要単語。理解を深める為に、必見です。
２巻【似たもの動詞編】 192分（3時間12分）講師：田中茂範さん
17. look & see
18. say & tell
19. speak & talk
20. hit & strike
21. listen & hear
22. throw & cast
23. push & press
24. pull & draw
25. fall & drop
26. clear & clean
27. carry & bring
28. remain & stay
29. lay & lie
30. move & pass
31. turn & change
32. spread & extend
33. touch & meet
34. work & operate
35. close & shut
36. lift & raise
コアイメージを理解すれば、こうした語句も使い分けられるようになります。なお、２巻だけ収録時間が長いです。
３巻【前置詞（副詞）編】 155分（2時間35分）講師：田中茂範さん
37. in
38. on
39. at
40. by
41. to
42. with
43. for
44. of
45. under
46. up & down
47. out
48. off & awa
49. over
50. through
51. across & along
52. around & about
イメージで覚えるのが特に重要なのは、この前置詞！ 一番オススメは、この３巻です。
４巻【形容詞編】 152分（2時間32分）講師：河原清志さん
53. good & great
54. bad & wrong
55. big & large
56. little & small
57. nice & fine
58. clever & wise
59. right & correct
60. true & real
61. fast & quick
62. high & tall
63. low & short
64. wide & broad
65. sharp & keen
66. new & fresh
67. hard & firm
68. happy & glad
この巻は、コアイメージを動画で解説するシーンが少なかったですが、「名詞との結びつきで覚える」説明が分かりやすいです。
５巻【名詞・文法項目編】 155分（2時間35分）講師：佐藤芳明さん
69. way & course
70. heart & mind
71. head & face
72. eye & mouth
73. front & side
74. line & point
75. end & edge
76. sense & interest
77. a [an]
78. the
79. to do
80. doing
81. will
82. should
83. as
84. what
この巻の後半には、「a [an]」「the」「to do」「doing」などの文法項目が登場。これも、もの凄く勉強になります。
６巻【動詞＋副詞編】154分（2時間34分）講師：田中茂範さん
85. take＋副詞
86. give＋副詞
87. get＋副詞
88. hold＋副詞
89. keep＋副詞
90. break＋副詞
91. cut＋副詞
92. put＋副詞
93. come＋副詞
94. go＋副詞
95. run＋副詞
96. push＋副詞
97. pull＋副詞
98. carry＋副詞
99. bring＋副詞
100. turn＋副詞
６巻の内容は、１巻【基本動詞編】と３巻【前置詞（副詞）編】を組み合わせた、応用力の問われる内容です。
以上、全６巻・１００回を観るのは、正直なかなか大変ですが、全部観ると基本語を「使い分けつつ使い切る力」が大幅アップするのは間違いありません。
安良城紅ちゃんと藤岡正明くんの現在
ちょっと蛇足ですが、ふと「紅ちゃんと藤岡くんは、元気かな？」と最近の活動をチェックしみてたら、安良城紅ちゃんは、BENIに改名。すっかり大人の女性に成長されてます。日本の男性アーティストの曲を、英語で歌うCOVERSシリーズ。2015年４月現在、アルバムが３つ出てますが、どれも素晴らしい出来です。
そして、番組では、少し”おちゃらけキャラ”で登場する藤岡正明くんですが、その後はミュージカルを中心にご活躍。今では、結婚されて父親になったようです。弾き語りの動画をチェックしてみましたが、「想像以上にキレイな声」で驚きました。いやぁ、めちゃくちゃ上手いです。
素晴らしい歌唱力を持った二人。大人になったBENIさん＆藤岡正明さんのデュエット曲も、いつか実現して欲しいものです。
その後の、語彙の増やし方
さて、2007年に発売された『イメージでわかる単語帳』の続巻が、2010年に発売されています。こちらは今回取り上げたＤＶＤ６巻の内容とは直接関係がないですが、このシリーズが気に入った方におすすめ出来る良書になっています。
これまで同様に、「基本語をコア（中心的な意味）で学ぶ」ことに加えて、part2では
語彙と幅を増やすネットワーキングの方法
が紹介されていて、語彙力アップの参考になりました。
また、田中茂範さんが編者に携わっている、「Ｅゲイト英和辞典」という辞書もあります。カンブリア宮殿などでも有名な作家の村上龍さんも、
この辞典は、言葉の意味の核（コア）を明らかにし、言葉の意味を概念として把握できる画期的なものだ。辞書を引くという作業がきっと楽しくなるだろう（村上龍さんの言葉）
と推薦されていました。コアイメージの考え方は、本当に素晴らしいと思います。ただ、この辞書はコアイメージの掲載数が限られているのが難点。辞書に関しては最新のものがオススメなので、2003年とやや古い「Ｅゲイト英和辞典」については、正直あまりオススメしないです。
最後に、ＤＶＤ発売元のベネッセの公式サイトに田中茂範さんの動画があがっているのでご紹介します。「新感覚☆キーワードで英会話」の動画ではないですが、「コアの考え方」や、田中先生の人柄が伝わってきてオススメの動画です。
>> 田中茂範教授が動画でコアを解説1（take）– Benesseの辞典
それではまた。［更新No.014］ 2015/03/31
